日銀が保有している株式が、莫大な利益を国庫にもたらしているそうです。
日本銀行と民間金融機関が資金を出し合って作った「銀行等保有株式取得機構」がそれぞれ、金融システム安定化のために銀行から買い取って保有していた株式の売却益が、2002〜06年の5年間で計7391億円に上っています。
株取得後の株価が急激に上昇いたのが大きな原因で、この間に受け取った株式配当金を含めると、利益は計約9500億円になります。
日銀と機構が今年3月末時点でまだ保有している株は合わせて5兆円を上回っていますが、約2兆4700億円が含み益です。
この株式の売却が進めば、さらに利益を手にし、国に多額の「臨時収入」をもたらすことになります。
日銀や機構が銀行保有の株取得を始めた02年は、後半に日経平均株価が8000円台まで落ち込んだ時期でした。
ちょうどこの時期には、銀行は多くの取引先企業と株を持ち合っていましたが、株価下落で株の含み損が拡大し、銀行の経営体力が低下して、金融不安に飛び火する恐れが発生していました。
日銀は金融不安に対する緊急措置として、02年11月〜04年9月までに、計2兆180億円の株を買い取りました。
金融不安を解消するための、苦肉の策でした。
その後、企業側から「自社株買い」の要請があれば例外的に株の売却に応じてきたのですが、売却益は06年だけで2175億円、配当金も443億円になりました。
日銀は毎年度、利益の大半を国庫に納付しており、日銀の06年度分の国庫納付金(7414億円)の3割超をこのときの保有株で稼ぎ出した格好です。
株主配当を増額する企業が増えていることも、莫大な利益発生の追い風になっています。
日銀の株式含み益は今年3月末でなお1兆8829億円あります。
ここのところ株価が乱高下していますので、この含み益が今後どうなるかは不透明な部分もあります。
ただ、10月以降、10年かけて保有株を市場で本格売却していきますが、世界の中央銀行でも例のない株式買い取りは今後も莫大な利益をもたらすことは間違いなさそうです。
一方、銀行の持ち合い株解消売りの受け皿として設立された機構も、02年2月から昨年4月まで計1兆5868億円の株を銀行から買い取りました。
すでに売却を始めており、06年度の売却益は4670億円に上ります。
機構は2017年3月までに売却を終えますが、機構が解散する時には、金融機関の拠出金を差し引いた最終的な利益が国庫に入ることになっています。
まさに国は今、“濡れ手に粟”状態でしょうか…